めるの備忘録

ゲーム、映画、本の感想を書きます。

賭け狂ってはいないけど作者の倫理観は狂ってる『異世界転生者殺し -チートスレイヤー-』

※作品の評価はともかく、それを理由に作者個人を攻撃していい理由にはならないので、そこら辺はよろしくお願いします。あと叩くならその前に実際に読んで欲しい。

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 本当は単行本出たら買って感想書こうかなって思ってたけど、1話を読んで思うところがあったので書いています。

 いつもよりお気持ちマシマシ。

 

 

はじめに

 異世界に転生した主人公がチート能力で無双する、所謂なろう系が流行り始めてから気づけばそれなりに年月が経っていた。

 私の好きなWeb発の小説は『異修羅』です。なろう系ではないけどマジでおすすめです。最強VS最強みたいなシチュエーションで燃えるオタクは是非買って読んでくれ。

 

 先日、いつものようにTwitterを眺めていると気になるツイートが流れてきた。

 漫画雑誌の新連載の告知なのだが、その原作者がなんと河本ほむら先生。アニメ化、そして実写映画化もされた大人気漫画『賭ケグルイ』の原作者でもある人だ。

 新連載の漫画のジャンルは異世界もの。河本先生がどんな作品を生み出したのか興味が湧き調べてみると不穏なことが書かれているのを見つけた。

 

『リゼロを始めとする有名なろう小説のキャラが登場する』

 

 人気ライトノベルのキャラがそのまま登場してしまったら大問題だ。流石に登場すると言っても軽いパロディの範疇だろう。そんな私の甘い考えをやつらは簡単に打ち砕いてきた。

 ネタバレありなので是非ドラゴンエイジ2021年7月号を購入して読んで欲しい。この怒りを誰かと共有したい。

 

 

本当にそのままなキャラクターたち

 村に住む青年リュートは転生者で構成されたギルド『神の反逆者』に憧れていた。

 転生者たちが魔王軍と戦っているおかげで、世界の平和は保たれている。しかし、ある日突然リュートの住む村が焼かれ、彼の幼馴染も殺されてしまう。

 その犯人は『神の反逆者』の一人であるルイ。リュートは憧れていたはずの存在から全てを奪われてしまった。

 

 そして彼らが転生者ギルド『神の反逆者』のメンバーだ!

 

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 ……笑うしかねぇよ。

 一人ずつ元ネタを解説していきます……。

 

『アンデッド・キング』ドーン・ウィル・デッド

原典:『オーバーロード』より アインズ・ウール・ゴウン

 

異世界レストラン』四条雪子

原典:『異世界食堂』より アレッタ(このキャラは異世界に転生していないし、そもそも異世界無双系の作品ではない)

あんまり知らない作品だから間違ってるかも。

 

『ネームドスライム』ロロ=センディガー

原典:『転生したらスライムだった件』より リムル=テンペスト

 

『幼い悪魔』アナスタシア・メロクヴァ

原典:『幼女戦記』より ターニャ・フォン・デグレチャフ(まぁ異世界転生っちゃ異世界転生か……)

 

『悪役令嬢』イメルダピニャータ

原典:『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』より カタリナ・クラエス(これも異世界で無双したりはしない。野猿のカリスマ性はチートレベルだけど

 

『堕女神』フレア

原典:『この素晴らしい世界に祝福を!』より アクア

アクアは転生者じゃないじゃんとかそういう話は置いといて、ちょっと見た目も含めて色々そのまんますぎない?

 

『神の手違い』ルイ=クロフォード

原典:『賢者の孫』より シン=ウォルフォード +α

+αについては後述。

 

『ルーパー』ホンダ・ユウヤ

原典:『Re:ゼロから始める異世界生活』より ナツキ・スバル

スバル→国産車→ホンダは凝ってるなと思う反面だったら別のところももう少し凝れよと思わなくもない。

 

 そしてそんな転生者たちを束ねるリーダーは……

 

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双剣の黒騎士』キルト

原典:『ソードアート・オンライン』より キリト

 

 ……もうSAOは異世界ものじゃないだろってツッコむ気力すらなくなったよね。

 思ったよりそのまんまなメンバーが本作の悪役、正気とは思えない。

 

 最低な例えをするけど、ギャンブル漫画の悪役で蛇喰夢子を元ネタとした蛇腹弓子みたいなキャラが出てきて「賭け狂いましょう」って言いながら弱者から金を巻き上げてたら嫌じゃん。そこから更に伊藤開司とか斑目貘が元ネタのキャラが現れて同じようなことをしだしたらもっと嫌じゃん。

 しかもそれを元ネタの作品とは全く関係のない人物が書いているのだからめちゃくちゃ嫌な気分になる。

 そんな感じで1話を読んでいた。

 

 

中途半端なパロディは嫌い

 ルイによって殺されたはずのリュートだったが、魔女を名乗る女性に助けられる。そして魔女の誘いに乗りリュートは転生者への復讐を始める。

 最初のターゲットは幼馴染を殺害した張本人であるルイ。しかし、転生者たちはそれぞれチート能力を持っていて、普通では勝つことができない。

 

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 ……ルイの持つチート能力、既視感がありますね。

 

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※賢者の孫コミカライズ版1巻 

 

 ルイの能力は原典である『賢者の孫』とほぼ同じなので個人的には怒られても文句は一切言えないと思いますよ。

 

 転生者と戦うために魔女がリュートに与えたのは知識。転生者たちの前世についての情報である。

 魔女曰く転生者たちの前世はどれもイキリ陰キャな社会不適合者らしいのだがちょっと待ってほしい。

 『賢者の孫』だけでなく、転生者たちの元ネタのキャラクターたちの前世に魔女の言った言葉が当てはまるキャラは少ない。

 まぁ所詮はオマージュ元だしそこまで一緒にする必要はないでしょとは思うのだが、単純に河本先生が元ネタである作品たちをあまり読んでいない疑惑がある。その最たる例がこれだ。

 

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 二つとも『賢者の孫』が元ネタのルイの台詞なのだが、すぐに違和感に気づいた物好きな優秀なオタクも何人かいるかもしれない。

 一枚目は『賢者の孫』での名台詞「またオレ何かやっちゃいました?」だ。

 しかし二枚目の台詞の元ネタは別作品、これが先程+αと書いた理由だ。元ネタは『黙れドン太郎』こと『物理さんで無双してたらモテモテになりました』の名シーンだ。

 

 河本先生が「黙れ(ドン」のシーンを『賢者の孫』のものだと勘違いしていたのか、わざとルイの元ネタに二つの作品を混ぜ合わせたのかは定かではないが、どちらにせよ双方に失礼としか言いようがない。

 これはただ単に『黙れドン太郎』だからという話ではなく、極論だがルイの元ネタが『物理さん』と以前読んで感想を書いた『転生したら破滅フラグしかない悪役貴族だった件(以下略』の混ぜ合わせだったとしても同じ反応をしていただろう。

 安易で中途半端なパロディはそのキャラへの冒涜でしかない。更に原典が絶対にしないであろう非道な悪役をやらせているのだからなおさらだ。出来の悪い二次創作みたいなことを本当にしたいのなら、せめてもっと原作を読みこんでからにしてくれ。

 

 私が個人的にかなり好きな『はめふら』が元ネタであるイメルダの過去や異世界での悪逆非道っぷりによっては今回以上にキレると思うので対戦よろしくお願いします(厄介オタク)。

 

最後に

 1話はルイと接触したところで終了し、次回は来月まで待つしかない。

 一応雑誌で追って読むつもりではいるけど流石にこれ以上感想は書きません。

 正直パロありきの作品というかパロ無しだった場合面白い要素が極端に減る作品でもあるのでパロに寛容な人は毎月私と一緒に地獄を味わってくれ。

 

 あと『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』が元ネタのキャラがいないのは掲載誌への忖度ですか?

訂正:お気持ち書き終わった後チートスを食べながらドラゴンエイジを読んでたら『このすば』が掲載されていたのでマジで全方位に喧嘩売ってて笑っちゃった。もしかしてこれって神漫画かもしれない……。

 

おしまい