90年代の映画という設定は気にするな『バズ・ライトイヤー』
はじめに
実は私はトイストーリーの大のファンだ。
恐らく私と同年代(20代)の人の大半は子供の頃にトイストーリー1,2を純粋に楽しみ、成長してから3を見て感動し、そして4で地獄を見たと思う。いや、4単体だけならそんなに悪くないとは思うんだ。3と相反することをやってるのが致命的すぎるんだ。
そんなシリーズの最新作、というより外伝的な作品としてトイストーリーのメインキャラであるバズの原点、そしてバズたち玩具の持ち主の幼いアンディが見た映画という設定で本作が発表された。
ただ、本作は公開前にちょっとした騒動が起きている。それは本作内での同性愛を描写したシーンが原因で一部の国で上映が中止になったという事件だ。
一応私はマイノリティ側の人間ではあるのだが、こういったいわゆるポリコレ問題についてどう思っているのかと言うと……正直どうでもいいというのが本音だ。そういった要素があろうとなかろうと本当に内容に支障をきたすレベルのノイズになっていなければ特に問題なく楽しむことができる。
もちろん過剰に配慮したような作品は少数派の人間としてもそんなに好きではない。
だが、そういった要素が少しでもあると過剰に叩く人間のことは嫌いだとはっきりと言うことができる。
最初に言っておくと本作で描写されている同性愛要素は本作オリジナルキャラのみで完結していて、バズはまったく関係ない。
更に言うと同性愛要素は作中でさらっと描写されている程度でそれが重要な要素かと聞かれるとそういうわけではない。なんてことのない、普通のこととして流されている。
だからこそ個人的にはこの程度のことでポリコレがどうのと叩くのは見ていない人間なんだなと思ってしまう。まぁ90年代に公開された映画っていう設定にこだわりすぎるとちょっとノイズになるかもだけどね。
まあごちゃごちゃ言ってるけど正直私、そして一緒に見に行った同棲してる彼女も4よりおもしろければ何でも良いですよという気持ちで映画館に行きました。
独りで戦うバズ
本作はテーマとして仲間と協力することの大切さを描いている。
前半では自身のミスのせいで宇宙船が未知の惑星に不時着しそこから出られなくなってしまったことを悔いたバズが半ば暴走とも言える形で脱出の方法を探し、後半では仲間と協力して惑星に突如現れたザーグとロボット集団の撃破を目指すといった内容になっている。
前半のバズは自分のせいで船員たちを巻き込んでしまったという自責の念に苛まれ、必死に事態を解決しようとする。
脱出のために惑星の素材から燃料を作りロケットで実験をするのだが失敗……それだけならよかったのだが、なんとあまりのスピードの速さのせいでウラシマ効果が発生してバズにとっては4分間の実験だったはずが、惑星では4年も経過していたのだ。
実験が失敗する度に4年という長い時間が経ってしまう。そこでバズは焦り何度も実験を繰り返す。当然その度に4年の月日が流れ、相棒であったアリーシャには恋人ができ、恋人との間に息子が産まれ、その息子が成長して女性と結婚してその間に娘が産まれる。そして最後には年老いたアリーシャは老衰で亡くなってしまう。ちなみにアリーシャの恋人のくだりが話題になった同性愛描写のところ。
バズだけが年齢がほとんど変わらないまま周りだけが変化していく。それが見ていて本当に辛い。
そしてアリーシャと恋人の描写についてだが、上でも書いた通り本当にさらっと流されている。作中で重要な要素というわけではなく、だからといって義務感による描写というわけでもない。個人的な考えではあるのだが、ポリコレ描写としてはわりと理想的なものではないのだろうか。
ただこれ見てバズに大ハマリしたアンディはかなり大人だなとはなったけどネ!
バズとザーグの関係性
後半のザーグとの戦いについてなのだが、実はザーグには本作で驚きの設定改変がされている。
本作ではザーグはなんと独りで戦い続けた未来のバズという設定になっている。
……ただ正直ザーグがバズの父親という設定が元々のバズライトイヤーのものなのかただ単にトイストーリー2でやったスターウォーズのパロネタなのか記憶が曖昧なので後で2を見直したいと思います。そのためのディズニープラス。
仲間を手に入れたバズとずっと独りだったザーグの対比は素直に盛り上がるし最後のバズの決断もめちゃくちゃ熱い。
好きなポイント
・溜めて後半で一気に爆発するストーリーが本当に最高
・バズとソックスの関係性。映画見た後にゲーセンでソックスのグッズ取ろうとお金を溶かしまくりました
・無能キャラパターンかと思いきやのまさかのボールペンの活躍で笑っちゃった
気になったポイント
・最初のテロップいる? 正直わざわざトイストーリーと絡めずにスピンオフ単体で勝負できた気もする
・謎の続編匂わせ
最後に
色々と言われた本作だが、そんなことは問題なく素直に楽しむことができる……と言いたいのだが、やはり人によっては本家との繋がりが気になってしまうかもしれない。
正直私もこれを見てバズの玩具を買ったアンディは感性がめちゃくちゃ大人だと思う。タイトルでも書いたとおりこの設定は気にしない方がいいとは思うのだが、映画冒頭で「これはアンディの見た映画だよ」ということを字幕で説明するシーンだけは本当にいらなかったと思ってしまう。
ただポリコレがどうのとうだうだ言う前に是非見てほしい。それだけが私の望みです。
おしまい