めるの備忘録

ゲーム、映画、本の感想を書きます。

モンハンにハマった中学生の妄想みたいな映画『モンスターハンター』

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※極限の世界だったよほんとに

はじめに

 私は実写映画を制作発表時点で駄作だと切り捨てる人間が大嫌いだ。

 そして彼らが実写映画の失敗作としてよく『デビルマン』を例に挙げるのだが、ほぼ確実と言っていいほどに、彼らは『デビルマン』を一秒たりとも観ていない。それどころか原作やアニメ(OPのネタを擦るだけではなく)を履修しているかすら怪しいくらいだ。

 私は原作が好きな作品が実写化した時はほぼ毎回実際に観てから評価するように心がけている。最近だと『がっこうぐらし!』や先日続編も発表された『かぐや様は告らせたい』を映画館で観てかなり気に入っている(がっこうぐらしは発表当時また別の理由で一時期反感を抱いてしまっていたのだが)。

 今回も発表当時はお気持ちツイートで溢れていたのを覚えている。そんな中私は監督と主演の名前を見て若干の不安を抱いてしまった。

 

主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ

 

監督:ポール・W・S・アンダーソン

 

(あぁこれ嫁のカッコいいアクションを撮影した映画っぽいし頭からっぽにした方がいいやつだ)

 

 実写版『モンスターハンター』の主演と監督は、同じくカプコンから発売されている人気ゲームシリーズ『バイオハザード』の実写版のコンビだ。それと同時に二人は夫婦だ。だからというわけではないが、バイオシリーズも後半はストーリーよりアクションがメインになっているような気がした。

 最近の福田雄一監督の作品でムロツヨシ佐藤二朗の存在を警戒するように、やはり監督の色が悪い方向に出ないか恐れてしまうのも事実だ。

 そんな精神状態の中、私は映画の公開日と同時に発売されたゲーム最新作に手を付けることなく、映画館でモンハンを観てきた。その感想をネタバレも挟みつつ少しだけ語っていきたいと思う。

 

 

モンスターパニックものとして楽しい前半

 軍に所属している主人公のアルテミスたちは、行方不明になった仲間たちを探している最中謎の嵐に巻き込まれ、異世界に飛ばされてしまう。

 異世界を探索していると、仲間たちの遺体と彼らが乗っていたバギーを見つける。遺体は全身が丸焦げになっていて、たとえ火炎放射器を受けたとしてもここまではならないらしい。そして遺体の周りの砂は超高温で熱された影響でガラスになっていた。

 アルテミスたちは遺体をそのままにして救援を呼ぶことを優先するのだが、突如謎の巨大生物ディアブロスに襲われる。

 部下を二人犠牲にしてしまったが、彼女たちは命からがらディアブロスの入ることのできない洞穴に逃げ込むことに成功する。しかし、そこはまた別のモンスターネルスキュラの巣穴で……。

 

 正直に言えば、序盤はどうしても中学生のする妄想みたいだなぁと思いながら見てしまった。

 モンハンの世界に転移した主人公が現代武器で戦う。モンハン2Gをプレイしてドハマりした頃を思い出してなんだかむずがゆい気分になってしまった。

 しかしネルスキュラが登場してからは一転して、モンスターパニックものとして楽しむことができた。

 大量の巨大蜘蛛に襲われ仲間たちは全滅、アルテミスも一度心肺停止まで追い込まれ、その後もネルスキュラの食糧庫に入れられる等散々な目に遭う。これモンハンじゃなくてもとか言ってはいけない。 

 そして巣穴から命からがら脱出したアルテミスは、ディアブロスに襲われ団とはぐれてしまったハンターと協力してネルスキュラを討伐、更にネルスキュラの毒針を利用してディアブロスの討伐を果たす。

 ちなみに散々広告やPVではアルテミスのメイン武器のように見えた双剣だが、ほぼ活躍シーンは存在しない。ミラ・ジョヴォヴィッチの鬼人化は数回しか行わないし、それがモンスター討伐に繋がるわけでもない。

 

 

尺が無いよ後半戦

 ディアブロスをたっぷりと尺を使って討伐した後なのだが、移動パートを挟んで団と合流し、そして再び移動パートを挟んでリオレウス討伐を目指す。

 ただでさえ尺も限られているというのに移動パートが複数回入るせいもあって更に圧迫され、全体的に後半はかなりサクサク進む。

 本作のリオレウスは、古代人が建造した現実世界とモンハン世界を繋ぐ塔の番人という設定で、現実世界に帰りたいアルテミスと二つの世界を繋ぐ扉を閉ざしたい団長と団員たちは協力してリオレウスの討伐に挑むことになる。

 しかしリオレウス戦も尺が足りないせいですぐに終わってしまう。

 リオレウスの迫力が凄まじかっただけに、戦闘シーンにもっと尺を割いてほしかったというのが本音だ。これでシナリオが濃ければ許せたかもしれないがシナリオも薄っぺらいんだよこの映画。

 

 

続きはモンハン2で!(本当にやるの?)

 リオレウス戦の途中で崖から落ちて、偶然空中にできた扉に入ったアルテミスは一人現実世界に帰還する。そして救援に来たヘリに乗せられ、彼女は日常に戻る……なんてことはなく一緒に現実世界に来てしまったリオレウスに襲われてヘリは墜落してしまう。カプコン製のヘリは云々のお約束である。

 現実世界に転移してきたハンターと団長の協力もあり、ついにリオレウスの討伐を達成するのだが、その直後に新たなモンスターが現れる。『モンスターハンター4』の看板モンスターであるゴア・マガラだ。恐らく真の番人なのだが、残念なことに戦闘に入ったところで本編は終了してしまう。

 

「俺たちの戦いはこれからだ!」

……完。

 

 私はエンドロールを眺めながら、実写バイオの1を観た時のことを思い出していた。あれも新たな戦いに挑むところで本編が終了している。

  エンドロールの合間には続編を匂わせるシーンも入っていて、武装したアイルーや戦うアルテミスたちを監視している謎の人物が登場している。しかしこの出来で続編を作ることができるのかは疑問だ。

 多分実写ジョジョ4部の時みたいになりそう。後編公開今でも待ってます。

 

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※率直な感想

 

良かったところ

・モンスターのCGは本当に良かった。

・アクションもかっこいい。

 

気になったところ

・アルテミスが心肺停止状態から普通に蘇生したのはまだ一乙目だったからって解釈でいいんですか?

・部下すぐに全滅するしキャラの大半がまともに会話できないけど豪華吹替声優陣を推す必要ありましたか……?

・モンスターとの戦闘を観たかったのに何故かなり尺の長い人間対人間のシーンを観なくてはいけないのか。

・ヘリが墜落して中にいたアルテミスだけ無傷なのは流石に笑った。モンハンは落下ダメないからね……。

 

 

最後に

 嫁自慢PVかと思っていたら嫁が酷い目に遭うのを記録した映像だった。正直仮に続編が作られたとしても観に行こうとはあまり思えない。というかあの監督はほんとに続編ありきで作る癖をやめてほしい。

 実写映画=クソ映画というわけではないのだが、実写映画≠クソ映画というわけでもない。そのことを再認識した。

 

おしまい