めるの備忘録

ゲーム、映画、本の感想を書きます。

百合オタクは幸せになれない。『この△ラブコメは幸せになる義務がある。』

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はじめに

 作品のタイトルが発売時に発表時のものから変更されていること自体は別に珍しい話ではない。例えば……今私の頭の中にパッと思い浮かんだのが『ココロコネクト』と『這いよれニャル子さん』なんだけど、もしかして今時ライトノベルを読んでいる世代はこのタイトル出しても伝わらない説あります……?

 それはともかく、編集がタイトルを初期のものから変えることで中身の魅力を引き出したり、インパクトの強いものにするのが狙いなのだと思うが、今回紹介する『この△ラブコメは幸せになる義務がある。』もそんな作品の1つだ。

 本作は電撃大賞にて金賞を受賞した作品だが、その発表時のタイトルがこれだ。

 

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 もはやジャンル変わってるな?

 私は発表時にこのタイトルとあらすじを見て、勝手に「その喧嘩買った!」という気分で購入を決意した。

 

 最初に言っておくと私は所謂『百合に挟まる男』は一次創作ならどうでもいいし、二次創作でも「まぁ、こっちが見ないように自衛すればいい話だしな」と諦めている。

 なら何故この作品に反応しているのかというと、タイトルの危うさが気になったからだ。

 『百合』、そして『幸せ』なんて言葉をタイトルに使っておいてオチが男主人公とくっつくようなものであれば正直喧嘩を売っていると思われても仕方ないだろう。もちろん思想は作者の自由だが、上から目線で「やっぱり男女でくっつく方が幸せですよね笑」なんて思想をぶつけられてブチギレるのもこちらの自由だ。

 しかし、まだあらすじを読んだだけでオチを読んだわけではない。もしかしたら男主人公はただ協力するだけで最終的にヒロイン2人がくっつくオチかもしれない。それに加えて自身の目で直接見ないと意見を言えない性格もあり、本作の発売を楽しみに待っていた……のだが、発売直前に出た新刊情報でちゃっかりタイトルが変更され、ジャンルが『百合の皮を被ったヘテロ』から一般的な『三角関係もの』になっていた。そしてついでにメインキャラ3人全員が他作品のものと被るという奇跡の事故を起こしていたキャラ名も全員変更となっていた。

 

 ハッキリ言うと、私はタイトルの変更によって本作への興味を失っていた。

 それでもTwitterで何度か言及していたし、今更逃げるのもどうなんだと私は無駄な迷いをしていた。

 最終的には心の中で知らないおっさんに「退けば老いるぞ 臆せば死ぬぞ」と語りかけられ本作をkindleで購入した。

 様々な感情を抱きながら読破したため感想を語るが……正直退けばよかったなって後悔している。

 

なろう系ラブコメ主人公

 物語は主人公の矢代天馬が高校2年生に進級したところから始まる。平凡な男子高校生である天馬はひょんなことからクラスメイトの皇凛華が百合趣味を持っていること、そして彼女が友人の椿木麗良に片想いしていることを知ってしまう。

 天馬は麗良をナンパから助けたことで彼女から好意を寄せられている。凛華はそのことを利用して麗良と自分がくっつく計画を始動させる。

 巻き込まれた天馬も徐々に協力に乗り気になっていくのだが、3人に関係もだんだんと変化していき……というのが本作の簡単なあらすじだ。

 

 率直に言うとストーリー自体はよくあるダブルヒロインのラブコメだ。

 天馬も凛華の恋を応援するが、結局やっていることはヒロイン2人と交互にいちゃついてるだけだから百合オタクとしては一切好意を抱くことができない。百合オタクが買うような作品じゃないだろっていうのは本当にそうですねって感じ

 ヒロインの1人である麗良についてだが、天馬に好意を抱くきっかけとなった展開はまだ理解できる。しかしそれ以降は全肯定ヒロインになってしまいこちらにもいまいち魅力を感じない。主人公くんへの持ち上げが過剰すぎてなろう小説味を感じるレベルだ。

 もう1人のヒロインである凛華は……設定のほとんどが使い捨てだからそんなに語ることはないです。大体『WHITE ALBUM2』の冬馬かずさみたいな子だよ……というのは流石にいいすぎかも。

 

ひたすら不快な大人組

 メイン3人の他にもサブキャラとして教師の相沢真琴と、天馬の姉である矢代渚がいるのだがどちらも問題があって不快感が否めないのだが特に渚が読んでいて苦痛を感じるレベルだった。

 本作はかなり下ネタの表現が直球なのだが、渚はその下ネタを多発してくる問題児だ。

 正直私は渚が出てくる2章で1度読むのをリタイアしている。元々下ネタがそんなに好きではないというのもあるが、意味もなくそういったネタを連発してくるのがシンプルに不快だったからだ。

 この2人がいなくても作品が成立していた以上、どうしても「こいつらいる?」と思いながら読んでいたというのが本音だ。ただここは人によって評価が分かれるポイントかもしれない。

 

オチで台パンした百合オタク

 まあどんなに途中があれでもオチが良ければ全て良し!と私は半ば祈るような気持ちで本作終盤である4章を読んでいた。

 実際終盤では凛華が天馬のおかげで麗良に告白をする決意をして、もしかしたら今までの私の中での評価が裏返るんじゃないかと期待していた……していたよ。

 是非3人の関係がどうなるのかは本作を読んで確かめてほしいのだが、オチを読んだ私は叫びながら台パンをしました。なんでこのオチで最初タイトルに『百合』って付けてたんだ???????????????????????????

 

最後に

 ここまでブチギレている百合オタクだが、一応擁護しておくとこれは私がわざわざ地雷原に特攻して勝手に爆死しただけの話である。

 最初からヘテロ(男女カプ)のラブコメと思って読めば評価も変わっていくのではないだろうか。まぁそれでも初期タイトルでジャンル詐欺しかけた事実は変わらないんですけどね。しばらくは擦るからな

 

 そして無事爆散した私はその後kindleで大量に百合漫画を購入した。無限にTwitterで布教してる。

 

おしまい