めるの備忘録

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ホームシリーズは完結だけどMCUはまだまだ続く『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』【ネタバレあり】

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はじめに

 私はマーベル作品の中でもスパイダーマンがトップクラスで好きだ(映画だとドクター・ストレンジが一番好き)。

 そんなスパイダーマンの映画を最初に見たのは2002年に公開されたサム・ライミ版の1。確か映画館ではなく、レンタルショップでDVDかもしかしたらまだビデオだったのを借りて家で見たのを覚えている。

 1のヴィランであるグリーンゴブリンが役員たちを爆弾で白骨化させるシーンが当時めちゃくちゃ怖くてギャン泣きした記憶があるのだが、今見るとそのシーンだけ時代相応にチープで少し笑ってしまった。

 そんなサム・ライミ版が3で完結し、新シリーズとして2012年に公開されたのがマーク・ウェブ版の『アメイジングスパイダーマン』。これは映画館で見たはずなのだが、正直に言うと今回のために見直すまで内容をほぼ忘れていた。だからといってつまらないというわけではなく面白かったのだが、興行収入が振るわずシリーズは2で完結(というより事実上の打ち切り)。

 その後ソニーはマーベルとパートナーシップを締結し、MCUマーベル・シネマティック・ユニバース)作品として再リブートされたのがホームシリーズだ。見落としてただけかもしれないけどホームシリーズって名称はつい最近になってから知った。

 

上がり続けるハードル

 正直私はスパイダーマンMCU加入には複雑な感情を抱いていたりする。

 MCU自体はすごく好きだ。ヒーローたちが力を合わせて強大な敵に立ち向かうのとか嫌いな人いないでしょ。

 ただし、作品が増えていくごとに楽しむためのハードルが上がり、結果的に初見バイバイなものになってしまうのも事実だ。

 ホームシリーズ1作目である『スパイダーマン:ホームカミング』の時系列は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の直後。このシビルウォーがかなりの曲者で、タイトル通りキャプテンアメリカが主人公の映画ではあるのだが、ほぼアベンジャーズと言っていいほど大勢のヒーローたちが登場する。そしてその内容は簡単に言えばそんなヒーローたちが意見の対立によって内ゲバを起こすというもので、結構好みがわかれるタイプの作品だ。そんなシビルウォーにはスパイダーマンがゲスト出演していて、当然のようにホームカミングでもシビルウォー見ましたよね? という前提でストーリーが進む。

 更に2作目の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』の直後、当然のようにそれを見ている前提でトニー・スタークの末路についてもガンガン触れていくのでハードルがたけぇ!

 別に過去作に触れずに新作を楽しむ人だって大勢いるのは理解しているが、個人的には映画を見る時は出来る限り100%楽しみたいタイプのオタクなので、やはり最近のMCUには軽いお気持ち表明みたいな感情があったりする。しかも今は映画だけではなくディズニープラスの限定コンテンツとかもあるし流石に追いきれない。

 

 でもノーウェイホームは最高だったのでネタバレありで感想を語ります。ここからが本題です。

 

おっさんに振り回され続けるスパイダーマン

 前作ファーフロムホームにてミステリオとその部下によって罪を全て押し付けられ、更に正体をバラされてしまったスパイダーマンことピーター・パーカー。当然彼の人生は崩壊してしまう。

 ピーターの家の周りや学校には報道陣や野次馬が押しかける。そして被害はピーターだけでなく恋人のMJや親友のネッド、家族であるメイおばさんにまで及ぶ。正直序盤は見ていてかなり辛かった。悪いのはミステリオであり、その原因となったのはトニー・スターク……相変わらず功績と罪過両方とも大きすぎるおじさんだよアイアンマン。だがそんなことはもちろん市民は知らない。市民たちの中でもスパイダーマンはヒーローであるという派閥とミステリオこそが英雄だったという派閥に二分化され、騒動は治まらず激化していく。

 そんな中、ピーターたちは大学への進学を目指す時期になるのだが、騒動のせいでピーターだけではなくMJとネッドまで志望した大学が全て不合格となってしまう。自分だけではなく二人まで巻き込んでしまったことに対して罪悪感を抱いたピーターはドクターストレンジを訪ねて時間を戻して正体をバレないようにできないか頼むが、そのためのタイムストーンはもう存在せず時を戻すことはできないと断られる。そしてその代替案として、人々の記憶からスパイダーマンの正体についての記憶を消すというどう考えても大変なことになる予感しかしない呪文を唱えることになる。

 案の定呪文は失敗し、マルチバース(別監督の映画)からスパイダーマンを知っているヴィランたちがやって来てしまう。彼らを対処しながら、ピーターは重大な選択をすることになるというのが本作の内容だ。

 

彼らにも道がない

 本作のタイトルであるノーウェイホームだが、意味は「家に帰る道がない」。これは正体がバレてしまったピーターに対してだけの言葉ではない。

 本作に登場するヴィラン、グリーンゴブリン(サム・ライミ版1)、ドクターオクトパス(サム・ライミ版2)、サンドマンサム・ライミ版3)、リザードアメイジング1)、エレクトロ(アメイジング2)は全員別シリーズに登場したものと同一人物、つまりは異なる世界から迷い込んできたということになる。しかも彼らがMCU世界にやってきたのは元の世界でそこのスパイダーマンによって倒された直後、すなわち本来なら既に死亡している人物なのだ。リザードって結局あの後死んだんだっけ?

 彼らを元の世界に返せばそのまま死んでしまうだけ、そこでピーターたちは彼らをヴィランでなくすれば死なずに済むのではないかと考え、彼らの治療をすることになる。

 本来ヴィランは倒すべき宿敵であり、倒されて当然の行いをしてきた。ただ、彼らにも事情があり登場作品にてその背景や末路を知っていると、どうしもてピーターたちの優しい考えに早くも涙腺が緩んでしまった。

 しかし、ヴィラン本人たち……特に二重人格であるグリーンゴブリンや以前の冴えない自分に戻りたくないエレクトロは反発する。そしてその被害はメイおばさんにまで及んでしまう。

 

大いなる力には、大いなる責任が伴う

 グリーンゴブリンの攻撃によってメイおばさんは重傷を負い、そのまま息を引き取ってしまう。彼女が死の直前に遺した言葉が「大いなる力には、大いなる責任が伴う」、スパイダーマンのテーマともなっている言葉だ。

 従来は序盤でベンおじさんがピーターに伝える台詞なのだが、ホームシリーズでは本編前にクモに噛まれるイベントやベンおじさん離脱イベントが発生しているためその役割はメイおばさんに引き継がれた。

 しかし、愛する家族を自身の行いのせいで失ってしまったショックでピーターはそれどころではなかった。

 そんな中、ネッドはピーターを探そうとドクターストレンジから強奪した指輪を使う。

 だが現れたのはトム・ホランドではなくトビー・マグワイアアンドリュー・ガーフィールド、つまりはマルチバースからやってきた別のピーター・パーカーだ。

 3人のピーター・パーカーが揃い、ヴィランたちを倒すのではなく治療するための最終決戦が自由の女神像で行われる終盤だが、過去作やコミックのことを知っているとかなり楽しめる要素が多い。

 ネッドがピーター(サム・ライミ版)に親友のことを聞くシーンや、ピーター(アメイジング)の軽い自虐ネタなども好きだが、一番好きなのは落下したMJを助けるシーンだ。なんとMJを救うのはトムホではなくアンドリュー、これがアメイジングシリーズを見ているとめちゃくちゃ泣ける。

 アメイジングシリーズのヒロインはグウェンなのだが、彼女は2にて死亡するという結末を迎えてしまう。その死因は時計塔からの落下、スパイダーマンは糸を飛ばしてグウェンを救おうとしたが間に合わず彼女は地面に激突してしまった。

 本作にてMJが自由の女神像から落下し、当然スパイダーマン(トムホ)は彼女を救おうとするのだが間に合わない。そんな中MJを救ったのは過去に最愛の女性を助けることができなかったスパイダーマンアメイジング)、これは過去作を見ているかどうかで印象がかなり違ってくるので是非アメイジングスパイダーマンを見てほしい。

 

選択の代償

 本作のラスト、ピーターが選んだ行動の結果は実際に見てほしいのだが、正直個人的には納得できない部分もある。

 ピーターはMJとネッドと約束をするのだが、それが果たされることはないまま本編は終了する。もちろんピーターは大切なものを全て失ってしまったけどスパイダーマンとしてこれからも親愛なる隣人を続けていく、というビターエンドとして捉えることもできるのだが、どうしてもMCUという存在がそのノイズになってしまう。

 MCU恒例のラストのクソデカ字幕くんは健在なのだが、ホームシリーズは本作で完結となり帰ってくるのは別のヒーローだ。しかし、本作で問題が全て解決しなかったということは以降の映画でそこに触れるのではないかという疑念を抱いてしまった。

 もちろん、考えすぎだろとは自分でも思うのだが、ホームシリーズが完結してもMCUスパイダーマンはまだまだ続いていくんだろうなという期待と不安が混ざった複雑な思いをしてしまう終わり方ではあった。

 

最後に

 色々と言ったが本作はマジで良かったし映画館でボロ泣きしたので気になった人は是非映画館の大画面で楽しんでほしい。でも暗い場所での激しい戦闘が多くて正直目が痛くなったよ。特にエレクトロ、もう少し電気の発光を抑えろ。

 それと入場特典でカレンダーのポスターをもらったんだけど、思っていたよりサイズが大きくて家族と2人で見に行ったけどどっちのトートバッグにも入らなくて爆笑しちゃったのでもしまだ配っているようなら大きめのバッグを持参して映画館に行こうね。

 

おしまい