百合オタク、池袋で灰になる『こちら、母なる星より』
注意:今回キモオタ成分マシマシ
2021年10月28日、私はウキウキでゲーム屋巡りをしていた。
日本一ソフトウェアによる百合ゲーム、『こちら、母なる星より』が発売されたからだ。ちなみに店舗特典目当てで3本買った。
ほぼ1年に1作のペースで出ている百合ゲーシリーズだが、第1弾は2019年6月27日に発売された『じんるいのみなさまへ』。低予算なのが明らかなグラフィックや不親切な要素で不評だが、シナリオやキャラの関係性が本当に尊くて私はこの作品が大好きだ。
第2弾は2020年7月30日に発売された『夜、灯す』。こちらは一応ホラーゲームなのだがあまり恐怖要素はなく、百合もほぼ友情方面というなんとも中途半端な作品ではあるのだが、この作品で私はおばあちゃんの百合もいいなと気づけたので好きな作品だ(ノーマルエンドが本当に最高)。
そして、第3弾が今回語る『こちら、母なる星より』だ。
廃墟と化した池袋を舞台とした作品だが、6月に発表された時私は画像を見て一瞬でこのゲームの真実に気づいた。
じんるいのみなさまへ続編じゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
— める (@me_rry) 2021年6月17日
なんと本作は日本一ソフトウェア百合ゲームシリーズ第1弾である『じんるいのみなさまへ』の続編なのだ。発表時は明言されていなかったが、インタビューにて同じ世界と明かされ、実際に本編でも類似した設定や単語が登場する。
正直私も続編出せるほど売れてたんだ……って驚いたよ。
もちろん前作から改良されている点や、逆にこの要素は好きだったのにな……という部分があるので語っていきたいと思う。
じんるいのみなさまへイージーモード
主人公的な立ち位置であるキャラの奏心が目覚めるとそこは船の上。何故自分がここにいるのか疑問を抱くが、すぐに友人たちと旅行へ来ていたことを思い出す。
奏心が部屋を出て、すぐに他の5人と会うことができた。5人も旅行で船に乗っていることを認識していて、何も疑問はないはずなのだがどうしても違和感を抱いてしまう。
これが本作のメインキャラ6人だ。
前作では5人+DLCキャラを加えてカップル3組だったのに対して本作では本編のみで完結するようになっている。思い返すと割とあくどい商法してたな。
6人の他に乗客はおろか、スタッフも見当たらない。当然そのことをおかしいと考えるが、それと同時に「これが普通」そして「大丈夫」と主人公は考えていた。そして状況に違和感を抱きつつも、6人は船内を探索することになる。
今回は前作のような3Dマップを探索するのではなく、地図から行く場所を選択し、そこでの会話を読むアドベンチャーゲーム(というより実質ノベルゲーム)の形式になっている。サバイバル要素もなくなり、一つの読み物として楽しむことができる。
ファミ通でのインタビューでも『じんるいのみなさまへ』での探索パートが不評で本作ではカットしたと語られていて、その判断は妥当だと思ったのだが、一方で正直サバイバル要素欲しかったな……と思う自分もいる。あったらあったで「どうして懲りずに……」と言っていたと思う。
船内には温泉にゲーセンやカラオケといった娯楽施設もあり、前作の秋葉原組に対して池袋組はかなり環境が恵まれている。更にはスマートフォンまで存在している(ただし電波はないのでメモ帳や懐中電灯役)。
そしてなんと機械によって作られる食事はお好み焼きといなり寿司の2パターンもある!(前作はわかめラーメンのミニサイズ)まあ早々に飽きて船の中で豆苗育て始めるけど。
じんるいのみなさまへハードモード
充実した生活を送っていたのだが、とある事情から6人は船を去ることになる。
そしてたどり着いたのが……池袋だ。
船にも戻れなくなり、6人は荒廃した池袋でのサバイバル生活を余儀なくされる。
初期状態は風呂無しベッド無しという前作よりも過酷な状況だ。
お風呂はドラム缶で作り、石鹸や歯磨き粉は船から持ち出してきたものを使う。
ただそれでも消耗品は使っていればいつか無くなってしまう。
ないなら作ればいいが池袋でのサバイバル流儀。
物語中盤からは更に過酷な状況になっていくのだが、そんな状況だからこそ女の子同士の絆が強まっていく。
本作では要所要所でこういった2人組の選択をすることがある。選んだペアのシーンを読むことができるのだがそれだけでは終わらない。本作の終盤では一番選んだペアの特別なイベントを見ることができる。つまりは3周しなくてはならない。
その他にも地図で場所を選んだ際に移動する演出としてキャラ同士のちょっとした会話を読むことができる。
公式カップリング以外の可愛らしい会話を見て妄想が止まらない。
推しカプ語り
ここからは私の一番推しているカップリングについて語りたいと思う。
まず私が6人の中で一目惚れしたのが春海だ。決してCVななひらさんのインパクトに惹かれたわけではない。
やっぱりスタッフにファンいるだろ!!!! pic.twitter.com/LiJw7egcmu
— める (@me_rry) 2021年6月17日
公式サイトで立ち絵を見て一目惚れし、ゲーム内でどうなるか楽しみにしていたのだが、相方の夏樹とのいちゃつきっぷりが本当に尊い。
2人ともどちらかと言えばマイペース気質で、誰かとワイワイするタイプではない。しかし、この人とは気が合うし2人でいる時は自然体になれる。そんな感覚が少しずつ2人の距離を縮めていく。その様子を見ていて終始にやつきながらプレイしてしまった。
更に夏樹は勘違いされるような言動も多く、そのせいでプレイヤーと春海は何度も苦しめられた。
春海も春海で夏樹の言動にまんざらでもない反応を示すし本当に可愛い。なんなのこの2人……。
そんな2人が絆を深めた末の温泉イベとプラネタリウムイベはホント最高なので自分の目で確かめてほしい。
過去パートで泣いたオタク
勿論推しカプ以外のキャラも好きなのだが、強く印象に残ったのは百年子と玲頼の2人だ。
百年子は甘えたがりな妹分、玲頼はみんなを引っ張る姉御肌といった感じのキャラなのだが、物語中盤で挟まる過去パートでは印象がかなり異なる。
百年子は他の5人とは違うある役割を持った存在であり、そのことから疎外感を抱いていた。そして玲頼もとある事情から心を塞いでいた。
過去パートにて百年子のことをどうにかすることはできなかったが、玲頼は奏心によって心を開き救われる結果となった。ちなみに過去パートを読んでいた私は仕事前にボロ泣きした。
百年子についても過去のことを忘れたからこそ現在の関係を築くことができたんだなと考えると泣けてきた。これは単純に話が感動できるというより加齢による涙腺の緩み。
玲頼と奏心についてはもう1つ秘密があるのだが、物語終盤にそれが明かされた時私は困惑しながらもめちゃくちゃニヤニヤするキモオタになってしまった。
最後に
一応ネタバレにならないよう、何故6人は荒廃した池袋にいるのか、そして数々の違和感の正体については書かなかったが、『じんるいのみなさまへ』をやっていればすぐにわかるしそもそも公式サイトにもそれっぽいことが書かれている。
それでも物語の中では真実についてかなり引っ張るので疑問に思っていたのだが、実は池袋にはもう1つ重大な秘密が隠されている。それについても是非プレイして確かめてほしい。
前作同様百合好きには勧められるしノベルゲーになったことで取っつきやすくなったんじゃないかなとは思います。文量もCGも多いからたっぷり楽しめるよ。でもそれはそれとして前作みたいにノベライズ版出すのは期待してます。
細かいバグや誤字が多いのはまぁいつもの日本一だなぁって感じです。
それともう1つ言いたいことが……
ありがとう、iPS細胞。
ありがとう、山中伸弥教授。
おしまい