二十年前くらいなら賛否両論止まりだったかも『ドラゴンクエストユアストーリー』
はじめに
コロナ渦で公開されるはずだった映画が次々と延期になってしまった。
今月は『実写版賭ケグルイ』、『ゴジラVSコング』、『クドわふたー』、『100日間生きたワニ』を見る予定だったが、全て公開延期になってしまった。なのでお気持ちブログに書くことが何もない。
別に書くことがないのなら無理に書くこともないのだが、どうせだし現在契約しているネットフリックスで作業中に見た映画の感想をネタバレありで語っていきたいと思う。
一本目は公開時悪い意味で話題になった『ドラゴンクエストユアストーリー』。
私は公開当時、この映画を実際に映画館へ見に行った。たしかに出来は悪いのだが、ネット上では実際に見ていないのに映画をこき下ろす人で溢れていた。
どんな作品も実際に見てから評価するのが私の心構えだ。それを他人にも押し付けるつもりはないが、ここで私が語るのも一意見でしかない。なので気になった人は実際にネットフリックスか他の配信サービス、またはレンタルショップ等で本編を見てほしい。
大胆なダイジェスト幼少期
この映画は『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』を題材としているのだが、当然壮大なストーリーを約100分でまとめることはできない。
そのためかなりカットしているのだが、ゲーム序盤に幼少期は最初の犠牲者だ。
主人公リュカの誕生から、ビアンカとレヌール城を探検するところまでをゲームを再現したドットで、ダイジェストの映像が流れる。本編はパパス死亡の直前から始まる。
そのせいでゲームを知らない人からすればビアンカとリュカがどのような関係なのか理解できないし、パパスのこともよくわからないだろう。ゲーム既プレイの人からしても、ビアンカのキャラ付けが原作と違いすぎて困惑するので誰も得をしていない。
結構出来のいい青年期前半
ゲーム本編通り、ゲマに捕まったリュカは奴隷となり、そのまま時が経って大人になる。
大人になったリュカと、一緒に捕まった王子ヘンリーは建設中の神殿から脱出し故郷へ帰還するのだが、やはりここら辺もかなりダイジェストでゲーム本編の内容をかなりカットしている。
神の塔で『ラーのかがみ』を手に入れて偽物の大后の正体を暴いたり、カボチの村で村民たちから糾弾される胸糞イベもない。
リュカはすぐにサラボナへ向かい、本来は青年期後半に行うはずのブオーン討伐イベントをこなす。
正直青年期前半は素直に楽しむことができた。たしかにゲーム本編とはかけ離れた内容なのだが、そのおかげで新鮮な気持ちで見ることができる。
脅迫に近いとはいえブオーンを仲間にする展開や、フローラとの結婚を断ったリュカに怒るルドマン、ゲーム本編ではすぐに役目を失うパパスの剣が活躍し続けるのもかなり満足だ。
深層心理に眠る意識に気づき、結婚相手をフローラからビアンカに変える展開は少し引っかかったものの、終盤のあれに比べれば大したことないものだった。
ここで終われば良作だった青年期後半
ビアンカと結婚し、二人の間には子供が産まれる。ゲーム本編では男女の双子なのだが、映画では男の子一人だけである。たしかにゲーム本編でも娘はあんまり役割ないけど、変な団体に怒られるのではないかと映画館で見た時は少し心配になってしまった。
ただ、娘がいても持て余すだけなのはなんとなく理解できたのでここはそこまで不満はなかった。
ちなみに映画にはグランバニアは出てこないので出産イベも石化イベも実家で行われる。それなのに主人公の名前にはグランバニアが入っている。そりゃ小説版作者も怒るわ。
石化から解放された後の青年期後半も基本的にはゲーム本編のイベントはほとんど起きず、やるのはオーブを回収するために過去へ行くイベントだけだ。
ただそれがダメというわけでもなく、個人的にはオリジナル要素の濃いゲマたちとの最終決戦など気にいっているシーンも多い。
大人になれ
ここからが最大の問題点。ゲマを倒してラスボスであるミルドラースが登場するのだが、突然リュカ以外のキャラたち全員が時が止まったかのように動かなくなってしまう。
そして現れたゲームとはかけ離れた姿をしているミルドラース(YS)は衝撃の真実をリュカに語る。
ここはバーチャルゲームの世界であり、リュカはそのプレイヤー。そしてミルドラースはその世界を壊すために作られたウイルスであると。
ミルドラース(YS)は製作者からのメッセージをリュカに告げる。「大人になれ」と。
まあ正直全ての真実が明かされる終盤はクソとしか言いようがない。そもそもゲームが悪なのかどうかといったテーマは十年以上前の作品から語り尽くされていて陳腐化してしまっている。
更に言えば黒幕であるウイルス制作者がやってることもただの嫌がらせでしかなく、その動機も幼稚としか言いようがない。その被害に遭っているのもただのプレイヤーの一人でしかないリュカの中の人だ。
……何が言いたいかと言うと、ゲームの善悪云々を語る土台にすら立てていないのだ。
ミルドラース(YS)の力に絶望するリュカだが、そこにスライムのスラリンが現れて更なる真実を告げる。
スラリンの正体はバーチャル世界を監視しているアンチウィルスプログラム(CV山寺宏一)だと。そして姿をロトの剣に変えて主人公に力を託す。
主人公の一撃でミルドラース(YS)は消滅してハッピーエンドを迎えるのだが、個人的には最後の武器がロトの剣というのが地雷すぎる。
題材となっているのは天空シリーズのドラクエⅤだ。天空シリーズにロトの剣は出てこない。シリーズファンへのサービス要素なのかもしれないが、余計なお世話である。
なら最後の武器が天空の剣だったらよかったのかと聞かれると、それも否である。Ⅴ主人公は勇者ではないので天空の剣を装備したらそれはそれで怒っていただろう。
だったら正解はなんなのか。その答えは終盤の展開を丸々カットすることだ。普通に現れた原作ミルドラースを倒してハッピーエンドの方が何百倍も良かった。
良かったところ
・終盤までは巻きの展開だったものの十分及第点の出来だった。
・パパス剣の活躍は素直に満足。
・ゲマ戦に駆けつけるヘンリーやサンチョ、ブオーンたちもかなり熱い展開だった。
・天空の剣の変形要素もかっこいい。DX天空ソードとしての商品化待ってます。
気になったところ
・ミルドラース(YS)、これに尽きる。
・あとキラーマシンをロボット呼ばわりしたり、ゲーム本編にはいない異物として扱っていたけど、ゲーム本編にもキラーマシン系列いたよね? 監督エアプ疑惑
最後に
正直これをやりたいんだったら題材はⅤでなく自由度の高いⅢあたりが良かったのではないだろうか。
……まあそれでも映画の評価は正直そんなに良くないと思うのだが。
色々と問題のある作品ではあるのだが、全部が全部最悪というわけでもないので、気になった人は是非見てほしい。
ゲマ倒したところで再生終了して大丈夫です。
おしまい
多分百合ゲー『素敵な彼女の作り方』
追記:R18パッチを導入したことでsteam版でもCGコンプリートが可能でした。
はじめに
私は百合が好きだ。しかしそこまで過激派ではない。ただし間に挟まろうとする男は〇んでくれ。
だからこそ女の子が過去に男と付き合っていようが、たとえ処女じゃないとしても特に問題はない。私にとっては現在の女の子二人の関係性が最重要であり、過去なんてどうでもいいのだ。
なのでこのゲームの問題点もそこまで気にならなかった。しかし、問題があるとすれば事前に公式が『男とのそういったシーンはない』と明言してしまったことだろう。
実際には主人公の女の子は過去に男性から性暴力を受けていたという設定があり、そのことを示唆するだけではなく、その時の様子を撮影した映像をヒロインが見てしまうというシーンがある。
個人的にはあまり問題ないのだが(それ以外に気になるところが多すぎて)、やはり公式の発言を信じて購入したユーザーもいたことだろう。そういった点では、このゲームの最大の問題と言えるだろう。
そのため、心の弱い百合オタクは購入を控えることをおすすめする。
デフォ言語は日本語じゃないので、まず初めに設定画面を開いて言語の設定を忘れないように。私は戸惑いながら本編を始めてしまったので。
あとこれはSteamで購入したのだが、他の販売サイトがFANZAなので多分未成年は買っちゃダメなやつだよ。
あらすじ
メンヘラの主人公すみれはいつものように病み垢で構ってツイートをしていると、女性を名乗るアカウントからDMが送られてくる。すみれはそのアカウントに徐々に心を開いていくが、実際にアカウントの主に会ってみると、複数人の男性による釣り垢だった。
男性たちに無理矢理ホテルに連れていかれそうになったが、そこをヒロインであるなずなに助けられる。
なずなの容姿にすみれは過去のことを思い出し嘔吐、男性たちはそれを見るとすぐに撤退した。しかしなずなもどこかに行ってしまい、すみれは病みながら帰宅する。
帰宅後、オンラインカウンセラーのような存在の『先生』にそのことを打ち明ける。
先生のアドバイスもあり、すみれは翌日も大学に行くが、講義で偶然なずなと再会してしまう……。
メンヘラが可愛い前半パート
前半は純粋な百合を楽しむことができる。
どうしようもなくヘラっていてめんどくさいすみれに、なずなは何度も優しい言葉を語りかける。
すみれはそんななずなに惹かれ、ついには彼女で淫らな妄想もしてしまう。先生に相談しつつ、二人の関係性がドンドン深まっていく前半パートは本当にずっとニヤニヤしていた。
私自身もかなりメンヘラな自覚があるのだが、だからといってメンヘラキャラに同族嫌悪しているわけではなく、逆にめんどくさい女の子の方が好みだ。
なずなに対してどう接したらいいのかわからず、それでも彼女と一緒にいたいという想いを抱えている前半パートのすみれは本当に可愛かった。
この言い方でわかると思うけど後半のこいつメンヘラというかヤンデレというか……、マジでヤバイやつなので。
まだ可愛いメンヘラな中盤パート
二人は徐々に仲良くなるのだが、すみれの想いはドンドン暴走していく。
なずなの友人に嫉妬したり、彼女のスマートフォンから連絡先を削除させたりする。よくありがちな束縛系メンヘラ彼女だ。
これは人によって感じ方が変わると思うし、なんなら多くの人がすみれに対して悪い印象を持つだろう。
しかし私は上にも書いた通りメンヘラが性癖なので、恐らく中盤で一番盛り上がっていたかもしれない。
ただ後半からは展開が斜め下の方向へ飛んでいくので……まぁここが私にとってのこの作品のピークです。
問題点が多すぎる後半パート
色々とあり、二人は同居生活をすることになるのだが、なずなの母親が襲来したことがきっかけで、すみれは完全に暴走してしまう。
なずなを隠し撮り写真で脅したり、首輪を付けたりとやりたい放題だ。なずなはすみれを怒らせないよう、そして一種のストックホルム症候群のような感情で彼女と一緒に過ごしていた。
最終的になずなは壊れ、すみれはそんな彼女では満たされなくなっていた。そしてすみれは衝動的に家を飛び出すと、偶然女性とぶつかってしまう。
彼女が新しい標的を見つけたところで、物語は幕を閉じる。
……一応エンディングは他にもあるのだが、スタッフロールが流れるのはこのエンドだけである。つまりこれがトゥルーエンドということなのだろう。
別に胸糞が嫌というわけではないのだが、後半パートに入ってからは矛盾点なのか考察ポイントなのかわからない箇所がいくつかある。
・すみれは大学には在籍していないって明かされるけど、なずなと出会う前は何してたの?
・大学通ってないのに奨学金で生活してたの?
・『先生』の選択肢がバグってたりコードがでる演出は何?
三つ目にはきちんとした理由があり、詳しく調べれば別のルートに行けたりするのかもしれない。……もしかしたら『君と彼女と彼女の恋。』のような一種のメタネタなのかもしれない。
正直に告白すると私はこのゲームを完全にクリアしたという自信がない。というかCGも全て埋まっていない。だがsteamの実績は全て解除したし、選択肢も全て選んだのでsteam版では見ることのできないCGなのかもしれない。そういうことにしておいてくれ。(2021年4月24日)
R18パッチを導入してCGコンプリートしてきました。基本的に追加されるのはバッドエンドのラスト、……もしかしたらこれバッドエンドを楽しむゲームなのではという考えに至った。
トゥルーエンドよりも比較的平和なエンドも多く、私が勝手に抗うつ剤エンドと呼んでいるバットエンドはなずなが酷い目に遭うことなく終わるため、多分このゲームの唯一のハッピーエンドなのかもしれない。
最後に
私は恋愛ゲームは純愛ものの方が好きで、あまり胸糞と呼ばれるようなものはやったことがない。なのでこのゲームの評価は5000円以上出して買っていたらキレてたと言わざるを得ないのだが、胸糞好きな人はぜひやって感想を聞かせてほしい。
ただ一つだけ好きなエンディングがあり、バッドエンドなのだが共依存に陥った二人が共に堕ちていく様子にほっこりしてしまった。
私にとってはそれがトゥルーエンディングであり、すみれがなずなを捨てるエンディングは認められない。ペットは最後まで責任を持とうね。
まぁ多分ラストのシーンこそが、タイトルの『素敵な彼女の作り方』を回収している場面と言えるのだが、やはり個人的には納得いかない。
こうして調査員はsteamを旅立ち、FANZAへと向かった。
おしまい
廃墟で動画撮影やってみた!『廃深』
探せ、キラッといいところ!桃山みらいです!今日はだいあちゃんと一緒にキラ宿郊外にある大人専用のホテル跡地を探検したいと思います!(雑な同人誌導入)
はじめに
私はホラーが苦手だ。だがそれでもホラーが好きだ。
一見矛盾しているように思えるが私の中でこの二つの感情は両立している。怖いもの見たさに突き動かされた結果、幼い頃から数々のトラウマを脳に刻んできた。
このゲームも配信が予告された時にすぐに購入を決意した。値段は2280円(予約購入は10%オフ)、流石にフルプライス並みの物は期待していなかったがそれでも値段以上に楽しむことができたので、ネタバレありで感想を語っていきたいと思う。
あらすじ
動画配信者の生駒美桜、桜井奈々、白石梓の三人は動画の企画として地元の心霊スポットである『ホテル イザナミ』に訪れる。
本当に幽霊が出るとは思っていなかったが(中盤に動画は本来ほぼやらせのドッキリ企画であったことが奈々の口から明かされる)、三人はホテルに閉じ込められ、着ぐるみの怪物に襲われることになる。こうして三人は脱出のために命がけの探索をすることになる……。
ゲーム内では何故かぼかされているが、完全にラブホテルである。恐らくだが女児がここで遊んでいたという設定のせいでぼかすことになったのかもしれない。
詰みエンカウントは修正してくれ
本編は基本的に横スクロールで進行する。探索でアイテムを集め、ホテルからの脱出を目指すのが目的だ。
しかしそう簡単に探索が進むわけもなく、道中では何度も怪物が襲いかかってくる。
個人的に怪物の見た目はそこまで怖くないが、これは人によって感じ方が変わるかもしれない。
更に三人を襲うのは着ぐるみの怪物だけではない。所々で明らかに着ぐるみとは別の存在が命を奪おうとしてくる。
危険から逃れるためにプレイヤーは適切なアイテムを選択して、適切な位置に使わなければならないのだが、こういった場面でできることはそれだけではない。キャラクターの胸や臀部を触ることで女の子の反応を見ることができる。
製作陣バカすぎて笑った #NintendoSwitch pic.twitter.com/DH9V70J2dw
— める (@me_rry) 2021年4月15日
……この説明でピンときた人もいるかもしれないが、このゲームを販売している会社は『プリズンプリンセス』を売っているところと同じ会社だ。
だからというわけでもないが女の子がメインで肝心のホラーはチープな部分も目立った。
その最たる例がこれだ。
お前それはズルだろ!! #NintendoSwitch pic.twitter.com/PMSvjuBzoj
— める (@me_rry) 2021年4月15日
基本的に怪物から逃げるにはトイレか柱に隠れるしかないのだが、時々絶対に逃げられない位置に出現することがある。
流石にこれは修正してもらわないとストレスが溜まりまくる。
後半からの虚無移動パートがキツイ
問題はもう一つある。それは終盤の怪物が出現しなくなるパートだ。
終盤着ぐるみの怪物を倒し、無事に脱出できるかと言うとそうではない。一応脱出することはできるが、その後黒幕とも表現することのできる存在に三人は殺されバッドエンドである。
それを回避するためには探索を続けなければならないのだが、ほぼノーヒントで見つけなければならず、私は全マップを何周もしてしまった。しかももう怪物は出現しないので本当に虚無である。
そしてバッドエンド回避の方法は、一階にある突然使えるようになった自販機を調べて奈々が飲み物を欲するイベントを起こすことだ。そんなのノーヒントでわかるか。
良かったところ
・ビジュアルはそこまででもないが、いつ出現するかわからない恐怖から探索中も緊張感があり鉈を引きずる音はしばらく耳に残った。
・バッドエンドは目新しいものではないのだがテンプレ展開であるが故の恐怖はあった。梓死亡エンドはラストのイラストも気合が入っていて本当に怖かった。
気になったところ
・やはりただただ虚無の終盤探索パートが辛い。
・とある部屋に攻略に必要なアイテムが集中しているのは少しどうかと感じた。意味のない部屋もあったのでばらけさせた方がい気もした。
・百歩譲って人形の首が切断されて胴体のみが封印されていたのはいいとして、何故自販機の中に人形の首が……?
主人公たちが日常に帰還したのでハッピーエンド
全ての問題を解決して脱出をすれば無事三人は日常に帰還することができる。完璧なハッピーエンドだ。
そして三人の後日談が終わるとスタッフが表示されながらその後ホテルがどうなったかについての後日談がモブ二人の会話で語られる。これがかなり良かった。
ホテルの呪いは人形の呪いに変質して、今後も人を襲い続けることが語られ物語は幕を閉じる。その最後の台詞と演出がかなり怖かったので、是非プレイして自分の目で確かめてほしい。
ただ一つ気になることを挙げるとすれば、結局呪いは残ったままということは三人も再び危険な目に遭う可能性もあるのではないかと感じてしまった。
しかしそんなことは一切語られないので、きっと三人はこれからも呪いとは関係のない動画を撮影し続けるのだろう。そして最終的に美桜と梓は付き合い始めるし、奈々は自分が梓を想っていることに気づいて嫉妬してほしい(百合豚)。
おしまい
モンハンにハマった中学生の妄想みたいな映画『モンスターハンター』
はじめに
私は実写映画を制作発表時点で駄作だと切り捨てる人間が大嫌いだ。
そして彼らが実写映画の失敗作としてよく『デビルマン』を例に挙げるのだが、ほぼ確実と言っていいほどに、彼らは『デビルマン』を一秒たりとも観ていない。それどころか原作やアニメ(OPのネタを擦るだけではなく)を履修しているかすら怪しいくらいだ。
私は原作が好きな作品が実写化した時はほぼ毎回実際に観てから評価するように心がけている。最近だと『がっこうぐらし!』や先日続編も発表された『かぐや様は告らせたい』を映画館で観てかなり気に入っている(がっこうぐらしは発表当時また別の理由で一時期反感を抱いてしまっていたのだが)。
今回も発表当時はお気持ちツイートで溢れていたのを覚えている。そんな中私は監督と主演の名前を見て若干の不安を抱いてしまった。
主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ
(あぁこれ嫁のカッコいいアクションを撮影した映画っぽいし頭からっぽにした方がいいやつだ)
実写版『モンスターハンター』の主演と監督は、同じくカプコンから発売されている人気ゲームシリーズ『バイオハザード』の実写版のコンビだ。それと同時に二人は夫婦だ。だからというわけではないが、バイオシリーズも後半はストーリーよりアクションがメインになっているような気がした。
最近の福田雄一監督の作品でムロツヨシと佐藤二朗の存在を警戒するように、やはり監督の色が悪い方向に出ないか恐れてしまうのも事実だ。
そんな精神状態の中、私は映画の公開日と同時に発売されたゲーム最新作に手を付けることなく、映画館でモンハンを観てきた。その感想をネタバレも挟みつつ少しだけ語っていきたいと思う。
モンスターパニックものとして楽しい前半
軍に所属している主人公のアルテミスたちは、行方不明になった仲間たちを探している最中謎の嵐に巻き込まれ、異世界に飛ばされてしまう。
異世界を探索していると、仲間たちの遺体と彼らが乗っていたバギーを見つける。遺体は全身が丸焦げになっていて、たとえ火炎放射器を受けたとしてもここまではならないらしい。そして遺体の周りの砂は超高温で熱された影響でガラスになっていた。
アルテミスたちは遺体をそのままにして救援を呼ぶことを優先するのだが、突如謎の巨大生物ディアブロスに襲われる。
部下を二人犠牲にしてしまったが、彼女たちは命からがらディアブロスの入ることのできない洞穴に逃げ込むことに成功する。しかし、そこはまた別のモンスターネルスキュラの巣穴で……。
正直に言えば、序盤はどうしても中学生のする妄想みたいだなぁと思いながら見てしまった。
モンハンの世界に転移した主人公が現代武器で戦う。モンハン2Gをプレイしてドハマりした頃を思い出してなんだかむずがゆい気分になってしまった。
しかしネルスキュラが登場してからは一転して、モンスターパニックものとして楽しむことができた。
大量の巨大蜘蛛に襲われ仲間たちは全滅、アルテミスも一度心肺停止まで追い込まれ、その後もネルスキュラの食糧庫に入れられる等散々な目に遭う。これモンハンじゃなくてもとか言ってはいけない。
そして巣穴から命からがら脱出したアルテミスは、ディアブロスに襲われ団とはぐれてしまったハンターと協力してネルスキュラを討伐、更にネルスキュラの毒針を利用してディアブロスの討伐を果たす。
ちなみに散々広告やPVではアルテミスのメイン武器のように見えた双剣だが、ほぼ活躍シーンは存在しない。ミラ・ジョヴォヴィッチの鬼人化は数回しか行わないし、それがモンスター討伐に繋がるわけでもない。
尺が無いよ後半戦
ディアブロスをたっぷりと尺を使って討伐した後なのだが、移動パートを挟んで団と合流し、そして再び移動パートを挟んでリオレウス討伐を目指す。
ただでさえ尺も限られているというのに移動パートが複数回入るせいもあって更に圧迫され、全体的に後半はかなりサクサク進む。
本作のリオレウスは、古代人が建造した現実世界とモンハン世界を繋ぐ塔の番人という設定で、現実世界に帰りたいアルテミスと二つの世界を繋ぐ扉を閉ざしたい団長と団員たちは協力してリオレウスの討伐に挑むことになる。
しかしリオレウス戦も尺が足りないせいですぐに終わってしまう。
リオレウスの迫力が凄まじかっただけに、戦闘シーンにもっと尺を割いてほしかったというのが本音だ。これでシナリオが濃ければ許せたかもしれないがシナリオも薄っぺらいんだよこの映画。
続きはモンハン2で!(本当にやるの?)
リオレウス戦の途中で崖から落ちて、偶然空中にできた扉に入ったアルテミスは一人現実世界に帰還する。そして救援に来たヘリに乗せられ、彼女は日常に戻る……なんてことはなく一緒に現実世界に来てしまったリオレウスに襲われてヘリは墜落してしまう。カプコン製のヘリは云々のお約束である。
現実世界に転移してきたハンターと団長の協力もあり、ついにリオレウスの討伐を達成するのだが、その直後に新たなモンスターが現れる。『モンスターハンター4』の看板モンスターであるゴア・マガラだ。恐らく真の番人なのだが、残念なことに戦闘に入ったところで本編は終了してしまう。
「俺たちの戦いはこれからだ!」
……完。
私はエンドロールを眺めながら、実写バイオの1を観た時のことを思い出していた。あれも新たな戦いに挑むところで本編が終了している。
エンドロールの合間には続編を匂わせるシーンも入っていて、武装したアイルーや戦うアルテミスたちを監視している謎の人物が登場している。しかしこの出来で続編を作ることができるのかは疑問だ。
多分実写ジョジョ4部の時みたいになりそう。後編公開今でも待ってます。
良かったところ
・モンスターのCGは本当に良かった。
・アクションもかっこいい。
気になったところ
・アルテミスが心肺停止状態から普通に蘇生したのはまだ一乙目だったからって解釈でいいんですか?
・部下すぐに全滅するしキャラの大半がまともに会話できないけど豪華吹替声優陣を推す必要ありましたか……?
・モンスターとの戦闘を観たかったのに何故かなり尺の長い人間対人間のシーンを観なくてはいけないのか。
・ヘリが墜落して中にいたアルテミスだけ無傷なのは流石に笑った。モンハンは落下ダメないからね……。
最後に
嫁自慢PVかと思っていたら嫁が酷い目に遭うのを記録した映像だった。正直仮に続編が作られたとしても観に行こうとはあまり思えない。というかあの監督はほんとに続編ありきで作る癖をやめてほしい。
実写映画=クソ映画というわけではないのだが、実写映画≠クソ映画というわけでもない。そのことを再認識した。
おしまい
リアルタイムだからこそ楽しめた日常漫画『100日後に死ぬワニ』
2020年3月20日、丁度一年前に有名なキャラクターがたくさんの人々に見守られながら亡くなった。
ワニだ。
この日のことを私は今でも覚えている。駅のホームで電車を待ちながら、Twitterのタイムラインを眺め、その時を待ちわびていた。
今思えば、キャラクターとはいえ大勢の人たちが彼の死の瞬間を待ち望んていたのは明らかに異常としか言いようがない。
しかし、予定の時間になっても最終話は投稿されない。まさか死んでしまったから100日目の話は更新されないというくだらない結末なのではと疑った。
結局10分ほど遅れて投稿された最終話は唐突にワニが交通事故に遭って亡くなるという、まあこれもくだらない結末だった。だが、その話の最初のコマでワニの友人が「遅いなぁ」とぼやいているのを見て、私は良い意味で作者の手のひらの上で踊らされていたと興奮したのを覚えている。
たしかにしょうもないオチではあったが、ちゃんと死んでくれて良かった(?)と感じていたのも束の間、公式自らの手によってその余韻はぶち壊されてしまう。
単行本、コラボカフェ、コラボ楽曲、映画化……次々と発表される商品展開に読者たちは困惑した。
私は所謂『嫌儲』と呼ばれる思想は持っていないので、別に商品展開すること自体には何も思わない。しかし鉄は熱いうちに打てとは言ってもタイミングが早すぎるだろうと複雑な気分になった。せめて翌日の発表だったら、もう少し素直に受け入れることができたかもしれない。
そして後日電通案件の疑惑もあり『100ワニ』はオタク界隈で大炎上となってしまった。電通が関わってたからヒットは夢見すぎでしょ。サム8にも関わってたんだぞ。
映画前の復習
何故今更になって単行本を購入したかのだが、2ヵ月後に公開される映画を見る前に一度復習しておこうと考えたからだ。
私は大体30日目辺りから読み始めたのだが、その時にはもう既にブラックジョーク的な話の造りから一日一日を大切にという安っぽいメッセージのノリに変化していた後だったので、単行本序盤は新鮮な気持ちで楽しむことができた。
自分がいつ死ぬか知らないワニは何カ月も先の予定を作るが、神の視点でワニがいつ死ぬか知っている読者はその予定が果たされないことも知っていて、何も知らないワニを嘲笑う。かなり悪趣味なブラックジョークだ。
問題は中盤以降、話のメインがワニたちのただの日常になってからだ。正直に言ってしまうと話に起伏がなさすぎて退屈だ。連載当時は毎日少しずつ更新されているのもあって「明日はどうなるんだろう」「どうやって死んじゃうんだろう」と考える余地もあったのだが、単行本で一気に読む場合はただの作業。そしてなんの脈略もなく交通事故で亡くなるオチを知っているのもあって虚無感は倍増だ。
中身なんてほぼない書き下ろし
とは言っても単行本にはTwitterでは読めない書き下ろしの漫画が収録されている。しかもその話はワニが亡くなった100日目以降の話だ。
期待してページを捲ったのだが……肩透かしもいいところだ。
たしかにその後の話が描かれているのだが、ワニがどうなったかについては一切描かれていない。友人キャラたちのただの日常が描写されているだけだ。
正直このためだけに単行本を買ったのを若干後悔したレベルだ。
全ページカラーであることを考えると適正価格ではあるのだが、やっぱりこれで1000円は割高に感じた。
オタクを嫌うオタク
正直に告白すると、私は『100ワニ』にそこまで悪い印象は持っていない。
勿論電通によるステマが事実なら大問題だが、私はそれよりも当時のオタクたちが気持ち悪すぎて、そっちに悪い印象を抱いている。
『100ワニ』連載中に作者とは全く関係の無い人間が投稿していた改変4コマ、その内容はワニが周りからいじめられているという酷いものなのだが、一番の問題は二次創作ではなく原作のコマをほぼそのまま使っていることだ(台詞は変えていた気がする)。
無断転載に改変とアウトもいいところで、当然通報によって画像は削除されるのだが、あろうことか改変4コマを投稿していたオタクは悪びれることなく、そしてその信者たちも公式を批判するという異常な光景が広がっていた。
最終話後の騒動も、オタクたちの嫌儲精神が嫌で若干冷めた目で眺めていた。
まあただの同族嫌悪であることは理解しているのでこれはお気持ちでしかないです。
映画、ほぼ別物説
2021年5月28日に、『100日間生きたワニ』と改題されて『100ワニ』の映画版が公開される。
ただやはり原作そのままでお出しされたら退屈な作品になってしまうだろう。
映画版では100日後のパートがメインになりそうだが、原作の書き下ろしや作者のTwitterを見ていると映画はオリジナル要素がほとんどになりそうな気がする。
オリジナル要素で物語の起伏を生み出せば映画としてしっかり見れる一本にはなりそうだが、『100ワニ』の魅力ってほんとになんでもないただの日常なんじゃないかなぁと思うと複雑な気分だ。まあ見に行くけど。
……でもオタクくんはどんな内容だとしてもどうせ見ないで叩くんだろうなぁ。それでプペルの時みたいに見てる人もバカにするんだろうからほんと草。
おしまい
【ネタバレあり】1週間弱でエヴァを履修したにわかが映画館で号泣した話 『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』
2時間半の上映時間 VS 花粉症のリリン
この1週間、私はエヴァンゲリオンのシリーズをゼロから履修し、そして沼にドハマりした。
だが、完結作であるシンエヴァを見る直前、不安がなかったと言えば嘘になってしまう。また『Air/まごころを、君に』や『Q』のような作品になっていないだろうかとソワソワしながら映画館でチケットを購入した。
それと不安要素がもう一つ、上映時間だ。シンエヴァの上映時間は約150分、2時間半もある。25年という長い時間で当時少年だったファンもおじさんおばさんになってしまった。身体は老化し、長時間の上映に膀胱が耐えられなくなっている話はTwitterでよく見かけていた。
私もそれなりに近い体質なのだが、それ自体は朝から飲食を控えることで対策ができた。しかし、最大の問題があった。
私は重度の花粉症だ。昨今映画館でのマナーが問題になっているが、くしゃみや鼻をかむ行為自体は生理現象でありマナー違反ではない。それでも迷惑に感じる人はいるだろう。だからこそ、私は2時間半鼻水を我慢できるかが不安だった(幸運にも雨のおかげでほとんど鼻水は出なかったのだが)。
というわけで、『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』を見てきたので感想をネタバレありで語っていきたいと思う。
壊れてしまったシンジ君
『Q』の終わりで精神崩壊してしまったシンジ君だったが、シンエヴァ前半での彼は台詞がほぼなくずっと心の殻に閉じこもっている。そんな彼にニア・サードインパクトを生き残ったトウジとケンスケ、そしてトウジと結婚した委員長は優しく接するのだが、それでもシンジ君は閉じこもり続ける。
それとは逆に、アヤナミレイ(仮称)はトウジたちが暮らす第三村での生活で徐々に人間性を得ていく。
旧シリーズでもあったのだが、やはりシンジ君が壊れるパートが一番見ていて辛い。しかも今回は周りの人間が優しさもあってシンジ君は後悔で押しつぶされてしまう。
そんなシンジ君が立ち直るのにかなり長い尺を割いているのだが、これといって劇的なイベントがあるわけではない。ただの日常生活が、碇シンジという少年の心を癒していく。
初恋の終わり
シンジ君を気に掛けるアヤナミレイ(仮称)に対してアスカが警告をする。私たちはサードチルドレンであるシンジ君に好意を持つようにプログラミングされていると。
完結作で衝撃の事実が発覚する。アヤナミレイ(仮称)だけではなく、式波・アスカ・ラングレーも人為的に生み出されたクローン人間だったのだ。まさかの展開だったが、これで名前が旧シリーズと違う理由にも納得した。しかしレイとアスカのクローンはシンジ君に好意を持つという設定が性格悪すぎて笑ってしまった。
ある意味これこそが、ヒロインという枠に固定されてしまった二人にかせられた、エヴァという作品の呪いなのかもしれない。
しかし、アスカにとってシンジ君は過去の男であり、本編では28歳になったケンスケといい雰囲気になっていた。
「NTRやんけ~~~~~~~!!!!」
寝てから言えにゃと言われそうだが、本編でのケンスケは精神的にもかなり大人に成長していて、見た目の雰囲気は加持にも似ている。クローンからオリジナルに近づいたアスカがケンスケに惹かれる理由としてはかなり説得力があると感じた。ただシンアス派にはご愁傷様としか言いようがない。
大人になれ
終盤ではシンジ君とゲンドウの一騎打ちとなり、ゲンドウの思惑が明かされる。それ自体は『Air/まごころを、君に』でも描かれていたのだが、本作では彼の内面も描かれている。
ゲンドウもシンジ君のように他者を怖がる子供だった。クラスメイトの家に行くことを恐れ、親戚の集まりを恐れ、本やピアノを好む内向的な少年だった。今回のことでゲンドウに共感する人も多そう。
そんな彼の孤独を癒したのが、ユイだった。二人は結ばれ、シンジ君が産まれる。
しかしユイは初号機と融合、消滅してしまった。だからこそゲンドウは妻と再会するために人類補完計画を利用する。
子供のまま大人になってしまったゲンドウと成長したシンジ君の対話を見ていて、私は『ドラゴンクエストユアストーリー』で語られた「大人になれ」というメッセージを思い出した。しかし本作ではユアストのような上っ面だけのメッセージではない。
勿論長年のシリーズの積み重ねというのもあるのだが、私はシンジ君の成長に泣いてしまった。1週間の関係だというのに既にシンジ君に対して親心を抱いてしまっていた。
制作陣に、ありがとう
エンディングでは数多くのアニメ制作会社がクレジットされていた。
カラーだけではなく、ufoやSILVER LINK.にYostarと知っている名前がチラホラあり、日本中の制作会社のほとんどが参加しているんじゃないかというレベルだ。
そして宇多田ヒカルさんが歌う主題歌の「One Last Kiss」と「Beautiful World」も素晴らしい曲なのだが、本編を見てから歌詞を見ると完全にゲンドウを歌ったもので笑ってしまった。
『もしも願い一つだけ叶うなら 君の側で眠らせて』
……完全にゲンドウのイメージソングじゃん。
カプ厨に、さようなら
本作のラストでは大人になったシンジ君たちが描かれるのだが、先程書いたアスカとケンスケの関係もそうだが、今までのカップリング論争をかなり覆すようなカップルが誕生している。
というかシンジ君とマリに関しては庵野総監督と奥様の馴れ初めなのか?
だが、綾波レイとアスカ、そして渚カヲルがヒロインという枠から解放され、更に大人シンジ君の声を神木隆之介さんが演じることが、真の意味でキャラクターたちがエヴァの呪縛から解放された瞬間ではないだろうか。
そして、全ての古参ファン≪チルドレン≫に
私のような新参者がこんなことを偉そうに言うのはおこがましいかもしれないが、それでも言わせてほしい。
25年もの間シリーズを追い続けたファンの皆様、お疲れ様でした。
そして……
おめでとう
おしまい
エヴァンゲリオン履修RTA:Q 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、破、Q』
明日シンを見に行く都合上急ピッチで書いてるのでいつも以上に内容薄いです。
はじめに
旧シリーズを全て観終え、次は新シリーズである新劇場版だ。
『Air/まごころを、君に』で続編を作れないような終わり方をしてしまったのだが、2007年にリメイクという形で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が公開された。
そして2009年には『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、2012年には『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開された。それから8年と数ヵ月、完結作である『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』が先日公開されたのだが、正直リアルタイムで観た人はどんな気持ちでこの瞬間を迎えたのだろうか。こいついつもリアルタイムの感想を気にしてるな。
良くも悪くも『Q』はインパクトが強く、私はすぐにシンで続きを観ることができるから問題ないのだが、リアルタイムで観た人はあの内容と終わり方から8年も待たされたと思うと、少し可哀想だと感じてしまった。ただ、それはそれで私には感じることのできない感情を抱いていたのだと思うと、少し羨ましくも思える。
大体リメイク『序』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』はTVシリーズの1話からヤシマ作戦までを描いた映画だ。
大まかな流れ自体はTVシリーズと同じなのだが、大きな違いとして序盤から第2の使徒リリス(しかもTVシリーズではアダムだと誤認させていたのだが、映画では最初からリリスとして認識されている)や渚カヲルが登場している。
この時点で純粋なリメイクではないのだが、独自展開を強めていく『破』や完全オリジナルの『Q』と比べたら、まだ総集編の部類に入るだろう。こういうこと言いすぎると全国のエヴァ好きおじさんたちがトウジになって殴ってきそう。
ゼルエル戦ほんと好き『破』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』ではアスカの来日からゼルエル戦までが描かれているのだが、私はTVシリーズでも新劇場版でもゼルエル(TVでは第14使徒、映画では第10の使徒)との戦いが一番好きだ。
最強の使徒を相手に仲間が次々とやられていく中、シンジ君が覚悟を決めて再び初号機に搭乗、そして初号機の暴走という流れにめちゃくちゃ興奮した。ただその後もまたシンジ君がヘラるのは流石としか言いようがない。まあ仕方ないけど。
映画では零号機ごとゼルエルに捕食された綾波を助けるために初号機が覚醒、ミサトからの後押しもあってシンジ君は神に近い存在(?)になってしまった初号機で綾波を救い出す。
しかし、その代償として進化した初号機によるサードインパクトが始まってしまう……かと思われたが、月から飛来したカヲル君の乗るMark.6によって阻止される。ここで『破』の物語は終了し、当然続きがどうなるのか気になったのだが……待っていたのはみんなが手のひらを返してシンジ君を責め続ける『Q』だった。……どうしてこうなった。
誰か説明してよ!『Q』
マジで問題作の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』なのだが、本当に説明不足としか言いようがない。
『破』から14年経ってようやく目覚めたシンジ君は周りから危険人物として扱われ、「もうエヴァには乗るな」と何度も警告される。後押ししてくれたミサトですらシンジ君に冷たい態度をとる。
何がどうなっているかわからないシンジ君だったが、私も彼と同じ気持ちになってしまった。トウジの妹であるサクラがめちゃくちゃタイプということしかわからない。
ニアサードインパクト(『破』のラスト)がきっかけでサードインパクトが起きてしまい、その結果世界が大変なことになってしまったと中盤に語られるのだが、肝心のサードインパクトが描かれていないせいで何も理解できないというのが本音だ。
『破』のエンディング後に流れた予告編ではサードインパクトに関係していると思われる映像が流れたのだが、『Q』本編では1秒たりとも予告の映像は使われていない。なので視聴者は予告の映像だけで何が起きたのかを考えるしかない。
そしてよくわからないうちにシンジ君が壊れたラジコンになってフォースインパクトが起こりそうになるのだが、カヲル君の自己犠牲やアスカたちの奮闘によって阻止される。その後また心を閉ざしてしまったシンジ君をアスカが介護しながら、14年間で変わってしまった世界を歩くシーンで『Q』は終了する。それから8年も待たされると思うと気が狂いそうになる。本当にシリーズを一気見してその直後にシンを見に行けるのは幸運だと再認識した。
最後に
明日『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』を見に行って、私の中でのエヴァ履修RTAは完走となる。
1週間弱でストーリーを頭に詰め込んだが、今でも人気である理由を理解しつつも始まった時から追いかけていた古参ファンは本当に大変だっただろうなと感じてしまった。
まだ未定だが『シン』を観終わったらゲーム作品の方にも手を出すか考えている。『新世紀エヴァンゲリオン2』とかをやってみたい。あと『名探偵エヴァンゲリオン』。
つづく